アポなしで他人の家に入ると刑事事件になり弁護士が必要になる?

アポなしで他人の家に入ると刑事事件になり弁護士が必要になる?

保護法益

刑法の機能として最も重要なものの1つが、法益保護機能であり、これが法益侵害に対する処罰の必要性を基礎付けます。つまり、犯罪が犯罪たる理由といえるでしょう。刑法で定められている犯罪は、生命・身体・財産などを守るために定められており、それが侵害された場合に罰することを認めているのです。

住居侵入罪の保護法益についてはア)旧住居権説、イ)平穏説、ウ)新住居権説と、学説上、争いがあります。判例の変遷に従って、みていきましょう。

大審院時代、住居侵入罪の保護法益は家父長の住居権という法的権利であると理解するア)旧住居権説が支持されていました。〈大審院判決大正7年12月6日〉は、夫の不在中にその妻と姦通する目的で住居に侵入した事案において、本罪の成立を認めました。しかし、封建的な家父長権と結びついた住居権概念は、現行法の理念と合致しないとの批判がなされています。

そこで、戦後になって主張されるようになったのが、イ)平穏説です。平穏説は、事実上の住居の平穏が法益であるとする見解であり、出入りのコントロール以外に背後の実質的利益(生命、身体、自由、財産などの安全)にも配慮して本罪の法益を考える点に特色があります。判例の中にも平穏説に親和的なものもありますが、「平穏」というのは漠然としており、不明確である上、住居権者の承諾の意義を軽視しすぎているなどの批判がなされました。

そこで、現在の通説であるウ)新住居権説は、旧住居権説の問題点は夫にのみ住居権があるとしたことにすぎず、住居権という考え方を肯定し、住居に誰を立ち入らせ、誰の滞留を許すかを決める自由を法益と考えます。

このページのTOPへ